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本質観取(哲学対話) 「ふつう」て何?

本質観取(哲学対話) 「ふつう」て何?

今日は、2人の児童と職員、校長とで、「ふつう」について対話をしました。
最初は「こどものための哲学 | NHK for School」の、「ふつうってどういうこと」を視聴しました。

その後、「ふつう」という言葉を言われて、うれしかったこと、嫌だったことを出し合いました。

大人の意見
・動画にあったように、「これ『ふつう』じゃないよね」「『ふつう』こんなことやらないよね」と、言われるとあまりいい気がしない。「ふつう」という言葉はあまりいいときに使われないように思える。
・津民小は、「全校2人しかいないの。『ふうつ』じゃないよね」と、言われるとちょっと頭にくる。「ここは最高の学校だよ」と、言い返したくなる。

子どもの意見
・逆に「ふつうだね」と言われた方が嫌です。例えばサッカーの練習のとき、「そのプレーは『ふつう』じゃないか」と言われる方が嫌だった。ふつうじゃなくて特別じゃないと。

・自分も同じ。みんなと同じと思われる方がいやだなぁ。ふつうじゃない方がいい。

哲学対話
・これまでも、「『ふつう』そうやるよね」「『ふつう』にやって」など、あまり言わてないなぁ。
・そうなんだ。大人はよく言われているよ。なんかみんなと違うときによく言われてきたなぁ。

・確かに、子どもの頃は「将来プロ野球選手になりたい」と言っても、周りは応援してくれるけど、年齢があがるにつれて「そんな夢をみないで、『ふつう』に生きろ」なんて言われる。だから、子どものころはあまり言われないかも。

・だれかに「『ふつう』にしなさい」「『ふつう』じゃない」など言われても、自分はあまり気にしないようにしている。

・それもわかるけど、やっぱり「ふつう」がいいかも。それの方が目立たないでいい。安心できるかも。

・「『ふつう』は嫌」「『ふつうそうする』等言われたことがない」と思っているのはいいこと。それは、周りに理解のある大人や友達に恵まれているだろうね。(子ども達 うん うん と頷く)

・国によって、「ふつう」はかなり違う。インドの人の多くは毎日カレー食べている。ナンも。

・国だけでなく、それぞれの家庭でも「ふつう」はちがう。それぞれルールも常識もちがう。

・「ふつう」は一人一人違う。その人の常識が、その人の「ふつう」。

・その人が「ふつう」て、言っていることが「ふつう」。

・一人一人の「ふつう」があつまると、みんな(集団)の「ふつう」になる。世の中の「ふつう」も、一人一人の「ふつう」の集まり。だから、時代や環境によって「ふつう」も変わる。

<司会>みんな自由な方がいい?

・自由な方がいい。自由は自分で決められるから。

<司会>だったら、夏休みの宿題の「自由研究」はすきですか?

・いやです。テーマを決めるのがめんどくさい。何からやっていいかわからない。

・自由だから、何のテーマでも、何をやってもいいのだけど。だから、めんどくさいよね。

・自由すぎるのはよくない。でも、強制はもっといや。

・自由には責任もあるよね。

・大人は自由でいいな。と思うことはある。

・中学校になると、宿題は減る代わりに自主学習をする。自由の学習が増える。小学校の低学年では、自主学習よりも計算問題とか漢字など、みんなと同じ宿題がでる。

・低学年では宿題を自由にすると、何をしていいかわからないから。

・「ふつう」ということはみんなと同じこと。だから、「ふつう」は嫌だけど、あまり違いすぎるのもどうかな。

まとめ
 私たちの考えた「ふつう」とは、
 「ふつう」とは、その人の常識が基準となる。「ふつう」は一人一人ちがう。
 同じ基準の人があつまると、それがみんなの「ふつう」になる。でも、「ふつう」は、仲間や時代や環境で変わる。そう考えると絶対的な「ふつう」は無い。


ふりかえり
・「ふつう」についてとても考えて、自分なりの納得いく答えが見つかってよかった。
・自分の「ふつう」を考え直すだけでなく、相手の「ふつう」についても、これからは考えたい。
・今日の「ふつう」についての対話は、とても深い学びのある時間だった。「ふつう」という言葉は嫌なイメージだったけど、「ふつう」の方が安心する自分がいる。これからは、相手の「ふつう」が、なぜそのように考えたを知るようにしたい。
・子ども達は、最後まで「『ふつう』でない方がいい」という考えだった!!個性のある素晴らしい子どもたちです。

まとめ
①「ふつう」に隠された意味と感情
 大人は「みんなと違う」ときに「ふつうじゃない」と言われることへの抵抗感や、安心感を求めて「ふつう」がいいと思う気持ちがありました。一方で、子どもたちは「みんなと同じ」と思われることへの嫌悪感、「ふつう」ではなく「特別」でありたいという強い思いを語っていたのが印象的です。この違いは、大人が社会の中で経験してきたことと、子どもたちがこれから個性を見つけていく過程にある、それぞれの立場が反映されているように感じます。

②「ふつう」は一人ひとり違う
 「ふつう」は人それぞれ違うという結論にたどり着いたのは、対話の中で最も重要な発見だったのではないでしょうか。自分の常識が「ふつう」であり、それが集まって集団の「ふつう」になり、さらに時代や環境によって変化するという考えは、とても哲学的で素晴らしいまとめです。

③「自由」と「ふつう」のバランス
 夏休みの自由研究の話は、「ふつう」と「自由」の関係性を考える上でとても興味深いテーマでした。子どもたちが「自由すぎるのはよくない」と感じたように、人は完全に自由な状態では戸惑ってしまうことがあります。ある程度の「ふつう」やルールがあることで、かえって安心して行動できるという側面があることを示していますね。この「ふつう」と「自由」のバランスこそが、私たちが日々生活する上で大切なことなのかもしれません。

 最後まで「『ふつう』じゃない方がいい」という考えを貫いた子どもたちの姿は、これからの時代を生きる上でとても大切な「自分らしさ」を大切にしている証拠だと思います。今日の対話は、全員にとって「ふつう」という言葉を多角的に捉え直し、自分と向き合う貴重な機会になったのではないでしょうか。