【校長コラム No.28 あなたのことを思って】
「あなたのことを思って」。大人であれば、一度は使ったことがあるフレーズではないでしょうか。大人は、自分の経験から、こうした方がいいと思うことがたくさんあります。そのため、ついつい、転ばぬ先の杖のように、子どもにアドバイスをすることがあります。私も身に覚えがたくさんあります。「あなたのことを思って、アドバイスをしている」というのは、事実だと思います。そこに嘘はありません。ただ、このフレーズを使う場面は、相手がきちんと聞いていない、自分のアドバイスが響いていないと感じるときではないでしょうか。この言葉は、少し強制力がある言葉です。言われた人の立場になって考えてみます。自分のために言ってくれているんだろうなということは、きっと、気づいていると思います。だけど、響かない。そのような状態で、恩着せがましく言われると、反発する気持ちが出てくることは、理解できそうです。少なくとも、「あなたのことを思って」と言われたから、アドバイスが心に響くということはなさそうです。「言わぬが花」の言葉、それが、「あなたのことを思って」。相手に響く話ができていないのは、自分の責任。相手に責任転嫁をしてはいけません。このフレーズを言いたくなったとき、それは、伝え方を再考する合図なのです。