R6年度校内研究の概要
1.研究主題
児童の考えを深め,表現する授業の創造
~交流と再思考を通して,伝え合う力を育てる授業づくり~
2.主題設定の理由
(1) R5年度の研究概要
R5年度は,「児童の考えを深める授業の創造 ~交流を通して考えを再構築させるためのICTを活用した授業づくり~」をテーマに据えて,児童間の交流を通して自分の考えを深めさせる授業の在り方を,算数科を中心に探ってきた.具体的な研究内容は,①交流・再思考の時間の設定,②ICTの活用,とした。
(2) R5年度の成果と課題
R5年度の成果は,①ICTの使い方に児童が慣れてきた,②ICTを、考える道具、発表の道具として活用できる場面が増えてきた,③交流が、自分の考えの再思考に活かされるようになってきた,④児童の説明が話型等を使い上手になってきた,である。課題は,①児童全員が取り組める課題を立てること,②交流・再思考の時間を確保できるように、課題までの時間を短くすること,③ふり返りを生かした授業づくりをすること,④単元テストの思考判断表現の正答率を高くすること。これを踏まえて,今年度も算数科の授業を中心に,自分の考えを持ち,それを児童同士の交流を通して深める授業づくりを行う.交流の後の再思考の時間に,児童が自分の考えを再構築することを目指す.さらに,児童の学び合いがふり返りに反映され,そのふり返りが次時に活かされる授業づくりをめざす.ICTは,昨年同様,授業の中に柔軟に取り入れて,考える道具や発表の道具等として活用する.
3.研究主題
・「考えを深める」とは,新しい概念を形成するために、自分の考えの間違いに気づく,考えを広げる,多面的に考える,よりよい方法に気づく,より論理的に整理すること.
・「表現する力」とは,言葉や数,式,図,表,グラフなどを用いた数学的表現力,説明や理由や手順の説明ができるコミュニケーション能力,学んだことをふり返りに表現する力.
・「交流」とは,目的に応じてペア、グループ,自由,全体の中で自分の考えを伝え合うこと,意見を伝え合うこと.
・「再思考」とは,交流を通して,自分の考えを再構築すること.
・「伝え合う」とは,お互いに考えやわかったこと、わからないことを伝えたり,お互いの共通点や相違点を見つけ,よりよい考えを相談したりすること.
4.研究仮説
算数科を中心とした授業において,授業者が児童間の交流と交流による再思考を通して,自分の考えが深まるように仕組めば,児童は次の学びにつながるふり返りができるようになり,意欲的に学ぶようになるだろう.
5.研究内容
(1)交流の場の設定
・児童が自分の考えを持ち,進んで交流(ペア、グループ、自由、全体)し,交流の結果として自分の考えを再思考できるように,授業者は交流・再思考の場を設定する.
・交流を通して,算数用語を正しく使って説明できる力,多面的に見る力をつける。
(2)ふり返る力の向上
・ふり返りの時間を確保するために,課題までの時間を短くする。
・児童が,交流とそれによる再思考を活かしたふり返りができるようにする.このために,ふり返りのピラミッド(わかる・交流・再思考・広げるとレベルを上げていく)を紹介する.児童が視点を活かしたふり返りができるように指導し,ふり返る力の向上を図る.
・本時の学習は,前時のふり返りの紹介から始めることとする.その際には,児童が表現した言葉の活用を心がける.
・学んだことやわかったことを,まとめやふり返りで自分の言葉で書くように指導する.
(3)思考・判断・表現を助けるICTの活用
・ICTは,考える道具,調べる道具,発表の道具などとして,適切な場面で柔軟に活用する.