「あたりまえ」を「ありがとう」に変えた修学旅行
10月23日(木)~24日(金)、6年生が長崎・熊本方面への修学旅行を実施しました。
子どもたちのしおりには、めあての一つとして「全員が自分と友だちの成長したことが言える」と記されていました。
この2日間で、子どもたちがどんな成長を見せてくれるのか――その姿を楽しみに見守りました。
1日目、長崎では被爆体験者の陸門良輔(むつかど りょうすけ)さんからお話を伺いました。
子どもたちは真剣な表情で耳を傾け、語り手の思いを自分のこととして受け止めていました。
お礼の言葉では、
「平和を守っていくために、今日聞いた話を広めていきたい」
「けんかや争いをなくして平和について考え続けていきたい」
と、自分の考えたことをしっかりと伝えており、そこには陸門さんへの感謝の思いと、平和への誓いが込められていました。

その後、長い道のりを歩いてホテルに到着したときのことです。
お部屋のポットの水を飲み、「こんなに冷たい水がある!」と声を上げた児童がいました。
「ホテルの人が自分たちのために用意してくれた」という相手の心遣いへの気づきが、その言葉に込められていました。
こうした気づきが仲間の中にも広がり、1日目の終わりには「ありがとう」の心があちらこちらで見られました。
その夜の教職員ミーティングでは、1日目の子どもたちの行動を振り返りながら、「この修学旅行を通して、感謝の心をさらに広げていこう」と確認しました。
そして翌朝、担任の先生から子どもたちに「ありがとう」という言葉をテーマに話をしました。
2日目の子どもたちは、旅行スタッフの方への言葉づかいや、ガイドさんのお話の聞き方に変化が見られました。
初めはただ聞いていた子どもたちが、次第にうなずきながら、目を合わせながら、一つひとつの言葉を受け止めるように聞く姿へと変わっていきました。
その姿には、「ありがとう」の心が自然に形となって表れていました。
子どもたちはこの修学旅行を通して、「あたりまえ」ではなく「ありがとう」で社会が支えられていることに気づきました。
ホテルなど旅行スタッフの方にとっての子どもたちは「お客さま」です。
しかし、客である自分たちが「ありがとう」と伝えることは、社会人としてとても大切なことです。
それは、お金やサービスのやりとりではなく、相手の思いに気づいたときの「心への返礼」だからです。
こうした学びを通して、子どもたちは「受け取るだけの存在」から、「思いを感じ取り、感謝を伝えられる人」へと成長していました。
この2日間で育った「ありがとうの心」を、これからの日常にも生かしてほしいと思います。
最後に、この修学旅行の実施にあたり、前日までの健康管理をはじめ、早朝のお見送りから帰着まで温かく見守ってくださった保護者の皆様、そして安全な引率・運行にご協力くださった関係各位に心より感謝申し上げます。
皆様の支えがあってこそ、子どもたちはこの2日間で多くの学びと成長を得ることができました。