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「われはパンなり」 ― 子どもたちのまねっこ詩 ―

「われはパンなり」 ― 子どもたちのまねっこ詩 ―

5年生の国語では、高見 順『われは草なり』のリズムに親しみ、
自分なりの「まねっこ詩」をつくりました。

その中から、一つの作品をご紹介します。

われはパンなり
       高瀬小5年生
われはパンなり ふくらまんとす
ふくらまれるとき ふくらまんとす
ふくらまれぬ日は ふくらまぬなり
ふくらまれる日は ふくらむなり

われはパンなり 茶色なり
全身すべて 茶色なり
毎年かはらず 茶色なり
茶色の己に あきぬなり

われはパンなり 茶色なり
茶色の深きを 願ふなり

ああ 生きる日の 美しき
ああ 生きる日の 楽しさよ
われはパンなり 生きんとす
パンのいのちを 生きんとす

「ふくらまれぬ日は ふくらまぬなり
ふくらまれる日は ふくらむなり」

無理をせずに、ありのままの自分を受け入れるまなざしが感じられます。
「調子のよい日もあれば、そうでない日もある。でもそれが自然なこと」――
人が安心して前に進むために欠かせない心の在り方を、端的に伝えてくれています。

「茶色の己に あきぬなり」

ここには、自分をそのまま認め、愛おしく思う気持ちがあふれています。
変わらない自分の姿を受け入れ、「これが自分だ」と誇りにしているところに、
子どもらしい素直さと同時に、人としての強さが感じられます。
ありのままの自分を肯定できることは、これから新しい挑戦へと踏み出すための確かな力になることでしょう。

子どもたちの言葉からは、
「われは鳥なり 飛ばんとす」
「われは雲なり 広がらんとす」
「われは鉛筆なり 描かんとす」
といった表現も生まれました。

どの作品からも、素直な思いや願いがあふれていて、読んでいるこちらの心まで温かくなります。
子どもたちが自分に重ねながら言葉を紡ぐ姿に、「その子らしさ」を大切にしながら育ってほしい という思いを新たにしました。